今回は、LUMIXの2本の望遠ズームレンズ、S PRO 70-200mm F4と万能ズームの 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.Sを比較してみたいと思います。
それぞれ用途や方向性は異なりますが、望遠域のレンズをお探しの方には、どちらにしようか迷う場面もあるかもしれません。
そこで今回は、7つのポイントに分けてじっくりとご紹介します。
「望遠ズームレンズ比較項目」
- 写りの違い
- F値によるボケの違い
- オートフォーカスの速度
- フォーカスブリージング
- 手ブレ補正
- 操作性
- 価格
最後には、それぞれのレンズがどのシーンに向いているかをまとめますので、ぜひ撮影スタイルに合う方を見つける参考にしていただければと思います。
今回は、同じ条件で撮影してその写りや使い勝手をしっかり見比べていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
動画でも紹介しています
1. 写りの違い
まず気になるのは、写りの違い。
今回、フォトスタイルをナチュラルにして、絞り、シャッタースピード、ISO感度を揃えて、JPEG撮って出しで見比べてみます。
色味でいうと、28-200が少し彩度が高く、コントラストもやや強い感じ、
70-200は彩度が少し控えめで、28−200寄りは柔らかな印象を感じます。
明暗の違いもあり、
28-200は暗部が少し深く出て、70-200はハイライトが明るめに映る傾向があるようです。
そして鮮明さもポイントです。
28-200もシャープですが、70-200のほうがより線が細かく見えて、パッと見たときのシャキッと感があります。
SproレンズはやはりSproっぽい写りをしていました。
時々ハッとするような写りを楽しめるのがSproレンズだと思います。
個人的にはSレンズの色も好きなので写りは好みで選べばいいと思いますが、写りの違いは思っていたより明確に感じられる結果になりました。
2. F値によるボケの違い
F値によるボケ感の違いも見ていきましょう。
70-200は開放F4固定、28-200は最大でF7.1と変動します。
開放値で70mmと200mmのボケ感を比べてみました。
被写体の浮き出す感じは、70-200がやはり優位だと思います。
同じ絞り値で比べてみても70−200のボケのほうがより滑らかな感じがします。
ただ、普段あまりボケを重視しない方にとっては、F4にこだわらなくてもいいかもしれません。
メリットになるのは、ISO感度を下げられることと、特に動画撮影時はF値が固定でき明るさの変化がでないことになるとおもいます。
3. オートフォーカスの速度
発売時期の違う2本のレンズですが、オートフォーカスの速度に差は出るのでしょうか?
まずは、駆動速度、追従感度を最大にして、AFモードを1点プラス補助で検証してみます。
1点プラス補助モードでは、どちらもAFの反応速度に大きな違いは感じませんでした。
次は追従テストをしてみます。
同じく駆動速度、追従感度を最大にして、AFモードはフルエリア、人物認識を入れて検証してみます。
70-200は人物がフレーム外に出たときに、フォーカスが手前か奥で迷ってしまうことがあり、28-200は手前に合わせる傾向がみられました。
ただ、この状況だと背景に合わせるほうが正解なので結果としては微妙なところ。
4. フォーカスブリージング
次は、フォーカスブリージング。
これは動画撮影時に気になるポイント。
どちらもブリージングは抑えられているので、映像制作でも使いやすいレンズだと思います。
若干ではありますが、28-200のほうがよりブリージングが少ないようにもみえました。
5. 手ブレ補正の効果
続いて手ブレ補正。これは、特に手持ちで撮影する際に重要です。
今回はボディとレンズの手ぶれ補正、さらに手ぶれ補正ブーストを使って検証してみます。
LUMIXの手ぶれ補正は優秀なので、結果としてはどちらのレンズも大きな違いは感じられませんでした。
しいていうなら28-200の軽さはポイントだとおもいます。
レンズが軽いぶん本体側に重心が寄るため、手持ちでの安定感は高いと思います。
6. 操作性
スイッチ類
それでは、操作性も見ていきましょう。
どちらもAF/MFの切り替え、手ブレ補正のON/OFFスイッチが備わっていますが、
70-200はMFの切り替えがクラッチ式になっていて、MFへの切り替えがスムーズです。
私の場合はボディ側で切り替えることが多いので、必須ではないですが、あるとちょっと便利な機能だとおもいます。
最短撮影距離
最短撮影距離に関しては、28-200のほうが短く、より近くに寄ることができます。
テレ端で28-200が65cm、70-200は92cmと、この違いは撮影スタイルに次第では影響が出るラインかもしれません。
7. 価格
最後は、気になる価格。
現在マップカメラでは、 70-200mm が約113,000円、28-200mm が約119,000円で、価格はほぼ同じです。
コレが悩ましい部分だと思います。
ちなみに70-200はテレコンが使えるというアドバンテージもあるので、より望遠が必要な場面でも力を発揮してくれます。
8. まとめ
いかがだったでしょうか。私なりにまとめてみると、
28-200mmは、LUMIXらしい色味で、いろいろな画角が使える点が魅力です。最高の写りではないかもしれませんが、絞りが可変であること以外は、特に問題を感じません。「とりあえず望遠を一本」という方には十分な性能です。
70-200mmは、より写りにこだわりたい方におすすめ。見返したときの満足感が高いですし、テレコンを使ってもっと望遠域を楽しむこともできます。重さを許容でき、撮影のイメージが決まっているなら、こちらがピッタリだとおもいます。
私は撮影に行くときは70-200、旅に持っていくのは28-200、という使い分けになっています。どちらも個性があるので、皆さんのニーズに合った一本を見つけてください!