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憧れの「Unoscra」との出会い

ある日、X(旧Twitter)でふと目に入った「Unoscra(ユノスクラ)」という手のひらサイズのウエストレベルファインダー。
その姿に一目惚れしました。でも残念ながら、すでに受注は終了…。それでも「どうしても体験してみたい!」という気持ちが抑えきれず、自作チャレンジが始まります。
Version 1:とりあえず四角く作ってみた

まずは手元にあったLマウントアダプターを活かして、四角い箱型で試作。
形にしてみたものの、実際に持ってみると…大きすぎる。
やはり「手のひらサイズ」でないと意味がない。
Version 2:円筒ボディでスリム化

次は、レンズのサイズ感に合わせてボディを円筒形にしてみました。
が、Lマウントアダプターを挟むと前重心になってしまい、バランスが悪くて使いづらい…。
ここで、マウント構造から見直すことに。
Version 3:M42マウント専用に設計し直し

手持ちのマウントアダプターを分解し、M42マウント部だけを取り出して再利用。
スクリュー式なので、微調整がしやすく、レンズ位置も追い込みやすい。
他マウントを流用する場合はロック機構の設計も必要なので、思い切って「M42専用ファインダー」として設計し直しました。
Version 4:光路を作るミラーの取り付け

ここからは「光の通り道」の設計です。レンズから入った光を上へ導くため、45°の角度でミラーを配置しました。
ミラーの位置は実物合わせで決定。
最適な場所を探しつつ、スクリーンの位置も微調整。像がぼやけないよう、スクリーンはミラー直上に配置しました。
Version 5:レンズ位置とスクリーン素材の検証
次は、無限遠が出る位置にレンズを仮セットし、スライダー機構でピントを調整。ここで重要になるのがスクリーン素材。

最初に使ったのは『PSKM-3043』というアクリル板。
ですが、透過度が足りずイメージと違う。
次に試したのは『PPクラフトシート(PS-1ナチュラル)』。
こちらは透明度が上がったものの、今度は“もっとクリアに”したくなる…。
そして試したのが、クリアファイル。透明度は申し分なし。

でも、レンズ背面がミラー越しに映りすぎて逆に見づらくなるという欠点がありました。
Version 6:理想的なスクリーンは文具から

最終的にたどり着いたのは、ファイルの表紙部分。
ほどよく半透明で、見え方もナチュラル。
厚手・薄手の2種類を比較した結果、薄手タイプの方がより良い印象でした。
スクリーン・ミラー・レンズの位置が固まったところで、ファインダー部の囲いを作成。これがVersion 6です。
Version 7:ラウンドエッジで握りやすさを改善

形としては完成したものの、角ばったデザインは少し手に痛い…。
そこでラウンドエッジ加工を施して、握り心地を向上。
出来上がったVersion 7を持って、いつもの公園でテスト。


ファインダー越しの風景は、まるで別世界でした。
ガラススクリーンにチャレンジ

試作を重ねるうちに、スクリーンのシャープさにもう一段階こだわりたくなりました。
Unoscraでも使われている「ガラススクリーン」に挑戦です。
材料はダイソーのフォトフレーム。
ガラスカッターでカットし、ポリッシングパウダー(1000番)で擦ると、5分程度で自作すりガラスが完成。

ガラスは表面が平滑なぶん、像が非常にシャープに見えます。
アクリルでも楽しめますが、写りの鮮明さを求めるならガラスがオススメ。
完成して改めて感じたUnoscraの完成度

ここまで自作してみて、Unoscraの設計がいかに完成度が高いかを痛感しました。
体験の質と実用性を両立させるなら、やはりあのデザインに行き着くんだなと。
ちなみに今回はM42マウントを採用しましたが、他マウントを使う場合はロック機構の設計まで必要になるため、一気に難易度が上がります。
覗くだけで世界が変わる、小さなファインダー
このファインダーは撮影機能こそありませんが、つい覗きたくなる魅力があります。
普段見慣れた風景が、ほんの少しだけ輝いて見える——そんな小さな感動を、すぐ手元で味わえるのが最大の魅力です。
本家Unoscraのリンクはこちらからぜひチェックしてみてください。