※この内容は動画でも紹介しています。
今回は、カメラ系3Dプリンター自由研究シリーズの第三弾として、「虫眼鏡を使ったカメラ・オブスクラ」に挑戦しました。

第一弾ではオールドレンズを覗いて楽しむ「ユノスクラ」、第二弾では虫眼鏡レンズを使った味のある描写モデルを制作。その流れからふと湧いてきたのが、
「この2つを組み合わせたらどうなるんだろう?」
というアイデア。
そこから生まれた試作機が、今回のオブスクラです。この記事では、設計のポイントや工夫した部分をまとめて紹介します。
レンズ構成:3倍+4倍の虫眼鏡レンズを採用した理由

今回のオブスクラでは、レンズを2枚重ねる構成に挑戦しました。使ったのは「3倍」と「4倍」の虫眼鏡レンズです。
前モデルはレンズ1枚構成で作れたものの、どうしても焦点距離が長くなって本体が大きくなるという欠点がありました。
そこで今回は、焦点距離を短縮できる2枚構成へと切り替えています。

焦点距離の合成は、AIに教えてもらったこの式を使用。
f 合成 = (f1 × f2) ÷ (f1 + f2)
細かい計算は苦手でも、倍率が高いほど焦点距離が短くなることだけ理解しておけばOKです。

手元にあるレンズの中で最も焦点距離を短くできたのが、3倍+4倍の組み合わせでした。
ボディ設計の工夫:コンパクト化を最優先に再設計

ボディは第一弾モデルをベースに、できるだけ小型化できるように完全再設計しました。基準としたのは前玉となる3倍レンズの直径。これに合わせて全体のバランスを調整しています。
- 全長・直径ともに一回り以上コンパクト化
- レンズ一体型構造で持ち運びしやすさが向上
ミラーの取り付け位置もアップデート

今回は内部構造にミラー用のくぼみを追加し、ボディと面一になるよう設計しました。写りへの影響はわずかですが、見た目の完成度がぐっと上がります。(完成すると見えなくなるんですけどね。)
ファインダーは「円形」に変更

前回は四角形ファインダーでしたが、今回はスマホで撮影したい方のコメントを受けて円形へ変更。さらにスマホで撮りやすいよう専用パーツも作りました。
……が、実際に使ってみると「やっぱり違うな」と感じて、個人的には不採用。
理由は、

レンズを通った光が鏡に反射して、すりガラスにふわっと浮かび上がる“あの体験”こそが魅力だから。
ウエストレベルファインダー特有の、地面を背景にしつつ、ファインダー内には正面の風景が見えるあの不思議な感覚が楽しいんですよね。
携帯性と使いやすさの強化

- ガラス板はストッパーで固定
- レンズは芋ネジ固定でガタつきを防止
- ストラップ穴を追加して携帯しやすく
- 底面をフラットにして机で転がらない設計
ピントは「無限遠固定」方式

虫眼鏡レンズにはピント調整機構がないため、本体を大きくしないためにも今回は無限遠で固定としました。シンプルですが、覗いて景色を楽しむ用途には十分です。
【検証結果】他レンズ構成も試してみた
もっと小型化できないかと考え、今回は別の組み合わせも検証しました。
4倍レンズ × 4倍レンズ

本体サイズは確かに小さくなったものの、描写がかなり甘い仕上がりに。特に周辺部の歪みが目立ち、実用的にはちょっと厳しい印象でした。

3倍レンズ × 3倍レンズ

こちらは描写が少し改善する可能性はあるものの、焦点距離が伸びるため本体が大きくなる問題が発生。さらに前玉サイズも今回と変わらないため、コンパクト化のメリットが得られません。
結果として、
「3倍+4倍」構成がサイズと描写のバランスで最も優れている
という結論に落ち着きました。
今後の改善ポイント

現状でも満足のいく仕上がりですが、改善してみたい点はまだまだあります。
- 内部反射の低減(見やすさアップ)
- さらなる小型化(最終的にはキーホルダーサイズ)
- より高品質なレンズの採用
- ピント調整機能の追加
特に「キーホルダーサイズ」は夢がありますね。気軽に持ち歩ければ、外で覗く楽しみがさらに広がります。
以上、今回は虫眼鏡を使ったカメラ・オブスクラの制作記をご紹介しました。














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