Log撮影はいつ使うべき?LUMIX S5IIでスタンダードとV-Logを比較してみた
この内容は動画でも紹介しています。
動画制作をしていると、「本格的にやるならLogで撮るべき」という空気を感じることがあります。
自分も以前から、Logのほうが本格的で、ちゃんと映像を作るなら使うものなんだろうなと思っていました。
ただ正直に言うと、通常のフォトスタイルとLog撮影で、実際にどれくらい差が出るのかを、自分の中でしっかり理解できていたわけではありません。
ダイナミックレンジが広い。白飛びしにくい。あとから色を作り込みやすい。
そういった知識としては知っていました。
でも、同じような条件で通常のフォトスタイルとLogを見比べたことがなかったので、体感としてどれくらい違うのかは曖昧なままでした。
その結果、たまにLogを使うことはあっても、あとから色を戻す作業が面倒に感じてしまい、普段は通常のフォトスタイルで撮ることが多くなっていました。
通常のフォトスタイルでも十分きれいに感じていたし、そもそも自分の中で「なぜLogを使う必要があるのか」が、ちゃんと腹落ちしていなかったんだと思います。
そこで今回は、LUMIX S5IIを使って、通常のフォトスタイルとV-Logで実際にどれくらい違いが出るのかを検証してみました。
Log撮影に対して持っていたイメージ

まず、検証に入る前に、これまで自分がLog撮影に対してどんなイメージを持っていたのかを整理しておきます。
自分の中でLog撮影といえば、まずはダイナミックレンジが広くて白飛びしにくいという印象がありました。
撮ったままだと色もコントラストも薄い、いわゆる「眠い絵」になるけれど、そのぶんあとからカラーコレクションをして整える必要がある。
さらに、そのひと手間があるからこそ、カラーグレーディングで自分好みの色を作りやすい。
そんなイメージです。

一方で、Log撮影には少し面倒に感じる部分もありました。
特に大きいのが、最低ISO感度が上がることです。
屋外で撮影するときはNDフィルターがほぼ必要になりますし、撮影時の準備や編集の手間も増えます。
知識としてはそれくらい分かっていたものの、正直なところ「映像がうまい人やプロっぽい人はLogを使っているから、自分も使いたい」という憧れの気持ちも大きかったです。
普段よく使っているのはLUMIXの「人物」フォトスタイル

普段、自分はLUMIXの「人物」というフォトスタイルをよく使っています。
これを使う理由は、何よりカラーコレクションをしなくても、撮ってそのまま自然に見えるからです。
編集の手間が減るというのは、動画制作ではかなり大きなポイントです。
通常のフォトスタイルでも10bitで撮れますし、ダイナミックレンジもそれなりにあります。
多少明るい部分が飛び気味になっても、少しは戻ってくる印象があります。
さらに、Log撮影時よりも最低ISO感度を低くできるので、NDフィルターを付けなくても済む場面が増えます。
この手軽さは、普段使いではかなり助かります。

ただその一方で、Logを使いこなせるようになりたいという気持ちはずっとありました。
なので今回の検証では、どんなシーンならLogを使う意味があるのか。逆に、どんな場面なら通常のフォトスタイルで十分なのか。
その基準を自分の中で見つけることを目的にしています。
今回の撮影条件

今回使用したカメラはLUMIX S5IIです。
レンズは50mm F1.8を使用しました。
カメラ:LUMIX S5II
レンズ:50mm F1.8
記録設定:4K30p / MOV / 4:2:2 / 10bit
デュアルネイティブISO:オート
NDフィルター:NiSi TRUE COLOR VARIO
今回は絞りを固定し、明るさはシャッタースピードで調整して合わせています。

S5IIのベース感度については、今回調べた範囲では、スタンダードが低感度側ISO100、高感度側ISO640。V-Logは低感度側ISO640、高感度側ISO4000あたりという理解で進めています。
その中で特に気になったのが、同じISO640で撮った場合、スタンダードとV-Logではどちらがきれいに見えるのかという点です。
スタンダードにとってISO640は高感度側のベース感度であり、V-LogにとってもISO640は低感度側のベース感度です。
そこでまずは、ISO640を基準にして比較してみることにしました。
今回使ったNiSiのTRUE COLOR VARIOは、可変NDフィルターの中でも色かぶりが少なく、屋外でLog撮影をするならかなり便利なアイテムです。
V-Log運用を考えている方は、こういったNDフィルターをひとつ用意しておくと撮影の自由度がかなり上がります。
ISO640でスタンダードとV-Logを比較

実際にISO640で撮影して見比べてみると、最初に感じたのは、V-Logのほうが白飛びをかなり抑えやすいということでした。
理屈としては分かっていたつもりでしたが、撮影時のウェーブフォームを見たときに、思っていた以上に違いがありました。
ハイライトとシャドウの収まり方がかなり違います。

V-Logで撮影した映像をカラースペース変換で戻して見比べてみると、白い本の部分や、オレンジの光が当たっている部分のグラデーションがかなりなめらかに見えました。
明るいところから暗いところへのつながり方が自然です。
自分がこれまで「きれいだな」と感じていた映像の、ハイライトからシャドウへの自然な光のグラデーションは、Log撮影による影響も大きかったのかもしれないと思いました。

一方で、暗い部分や木目を見比べると、V-Logのほうがわずかにノイズが多いようにも見えます。
この傾向はISOを上げるほど少しずつ分かりやすくなりました。
ISO800、1600、3200あたりでは、V-Logのほうがだんだんノイズが目立ってくる印象があります。

ただ、ISO4000になると少し傾向が変わり、V-Logのノイズが少し落ち着いて見えました。
おそらく、ベース感度が切り替わるタイミングが関係しているのだと思います。
Log撮影をする人がベース感度を大事にする理由も、ここにあるのだと感じました。
とはいえ、ISO4000がV-Logのベース感度だからといって、スタンダードより明らかにノイズが少なくなるかというと、今回の比較ではそこまで単純ではありませんでした。
見比べた印象では、むしろV-Logのほうが少しノイズ感が見えやすい場面もあります。

ISO6400やISO12800まで上げると、どちらもノイズは増えてきて、差はそこまで大きくないように感じました。
また、色の見え方としては、V-Logを変換した映像のほうが少し黄色寄りに見える印象もありました。
今回の比較で一番大きかった発見

今回、ISO640で比較して一番強く感じたのは、V-Logで撮影すると、明るいところから暗いところまでの光のグラデーションがかなりなめらかになるということです。
ただ白飛びしにくいだけではなく、光のつながり方そのものが自然に見えます。
この差があるからこそ、あとから彩度や色味を調整したときに、色を作りやすくなるのかもしれません。
一方で、ノイズだけを優先して見るなら、スタンダードで撮ったほうが扱いやすい場面も確かにあると感じました。
スタンダードISO100とV-Log ISO640+NDフィルターを比較

次に気になっていたのが、スタンダードのISO100と、V-LogのISO640+NDフィルターでは、どんな差が出るのかという比較です。
まずは同じISO640で撮影し、明るさの基準を作りました。
シャッタースピードは1/400、絞りはF5.6です。
今回はLUMIXに搭載されているスポット輝度メーターを使って、18%グレーカードの部分を測りながら露出の基準を見ていきました。

スタンダード:グレーカード部分が52%
V-Log:+0.6stop
スタンダードISO100:1/60・F5.6・輝度メーター54%
V-Log ISO640:NDフィルターで+0.6stop付近に調整
この数値を目安に、それぞれ露出を合わせて比較しています。
スタンダードではISO100に設定し、シャッタースピードは1/60、絞りはF5.6。
一方、V-LogはISO640のままだと明るすぎるため、NDフィルターを取り付けて濃度を調整しました。

結果としては僅差ですが、ノイズはスタンダードのISO100のほうがわずかに少ないように見えました。
スタンダードのISO640と比べても、ISO100のほうが少しだけノイズが少ない印象です。
ここは単純に、感度が上がるほどノイズは増えやすいという理解でよさそうです。
NDフィルターを使ったことによる色の変化も気になっていましたが、今回見比べた範囲では、そこまで大きな違いは感じませんでした。
もちろん、使うフィルターの質や濃度によって差は出ると思います。

ただ、少なくとも今回の条件では、NDフィルターを挟んだことによる大きな劣化は感じませんでした。
ノイズならスタンダード、階調ならV-Log

この比較で印象的だったのは、やはりV-Logのほうがハイライトからシャドウまでのグラデーションがなめらかに見えるという点です。
ノイズだけを見れば、スタンダードISO100のほうが有利です。
でも、光のつながり方や階調のなめらかさを求めるなら、V-Logに良さがあります。
どちらが絶対に正解というよりも、何を優先するかで選び方が変わると感じました。
スタンダード拡張ISO50とV-Log ISO640+NDフィルターを比較

最後に試してみたかったのが、スタンダードの拡張ISO50です。
スタンダードで撮影すれば、ISO50まで下げることができます。
拡張ISOは画質が劣化するという話もありますが、最低感度を50まで下げられるなら、NDフィルターを使わずに済む場面はさらに増えます。
ただ、実際にどれくらい画質に影響が出るのかはかなり気になっていました。
今回もまずは基準を作ります。
シャッタースピードは1/800、絞りはF2.5。
NDフィルターを使って露出を合わせました。

スタンダード:45%
V-Log:+0.2stop
スタンダード拡張ISO50:1/60で撮影
V-Log:ISO640で露出を合わせて撮影
この条件で見ると、ノイズはISO50のほうが少ないように見えました。

拡張ISOと聞くと、画質がかなり悪くなるのかなという印象がありましたが、今回見た限りでは、自分の目ではそこまで大きな違いは感じませんでした。
先ほど比較したスタンダードISO100と比べても、ISO50だから急にノイズが厳しくなるという感じではありません。
もちろん、シーンによっては差が出る可能性はあります。
ただ少なくとも今回の検証では、低い拡張ISOも意外と使えそうだという印象が残りました。

ここでもやはり、光のグラデーションのなめらかさという点ではV-Logに良さがあります。
ノイズをできるだけ抑えながら手軽に撮りたいならスタンダード。
ハイライトからシャドウまでのつながりや、あとから色を作る余裕を重視するならV-Log。
そんな使い分けが見えてきました。
今回の検証で分かったV-Logの使いどころ

今回こうして見比べてみて、自分の中でLog撮影に対する印象はかなり変わりました。
これまでは、ダイナミックレンジが広いとか、あとから色を作りやすいとか、知識としての理解はありました。
でも実際に見比べてみると、Logの良さは単に白飛びしにくいことだけではありませんでした。
一番大きかったのは、明るいところから暗いところまでの光のつながり方そのものが、かなりなめらかに見えるということです。
ここはかなり大きな発見でした。
一方で、ノイズだけを見れば、スタンダードのほうが扱いやすいと感じる場面もあります。
V-Logが向いている場面:
明暗差が大きいシーン
ハイライトからシャドウまでの階調をきれいに残したいとき
あとからしっかり色を作り込みたいとき
通常フォトスタイルが向いている場面:
撮ってそのまま早く仕上げたいとき
ノイズをなるべく抑えたいとき
NDフィルターなしで気軽に撮りたいとき
撮ってそのまま使いやすいこと。編集の手間が少ないこと。最低ISO感度を下げられるので、NDフィルターなしで撮りやすいこと。
こういった実用面では、通常のフォトスタイルの強みもかなり大きいです。

なので、今回の検証を通して感じたのは、Logは「とりあえず使えば正解」というものではないということです。
明暗差の大きいシーンで、ハイライトからシャドウまでの階調をできるだけきれいに残したい。
あとからしっかり色を作り込みたい。
そういう場面では、V-Logを使う意味はかなりあると思いました。
逆に、撮ってそのまま早く仕上げたいとき。ノイズをなるべく抑えたいとき。NDフィルターなしで気軽に撮りたいとき。
そういう場面では、通常のフォトスタイルでも十分だと感じます。
まとめ

今回の検証を通して、Logを憧れだけで使うのではなく、必要な場面で使い分ける基準が少し見えてきました。
V-Logは、明るいところから暗いところまでの階調をなめらかに残せるのが大きな魅力です。
特に、ハイライトの粘りや光のグラデーションをきれいに見せたいシーンでは、通常のフォトスタイルよりも良さを感じました。
一方で、ノイズの少なさや撮影・編集の手軽さを重視するなら、スタンダードなどの通常フォトスタイルもかなり使いやすいです。
特にLUMIXの「人物」フォトスタイルは、カラーコレクションなしでも自然に見えやすく、普段使いにはかなり便利だと改めて感じました。

今後は、Log撮影で少し明るめに撮ってあとから露出を下げる方法や、通常のフォトスタイルでもフラット、シネライクD2などを使ってコントラストを抑える方法も試してみたいです。
シーンに応じて、V-Logを使うのか、通常フォトスタイルで撮るのか。
その判断ができるようになると、撮影も編集もかなり楽になりそうです。
同じように、Log撮影の必要性がいまいち分かっていなかった方の参考になればうれしいです。













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