カメラ背面に取り付けるタイプの外付け冷却ファンは、実際にどの程度の効果があるのでしょうか。

今回は、冷却ファンを内蔵していないLUMIX S9を使い、外付けファンやダミーバッテリーを組み合わせながら、4K動画を長時間撮影できるか検証しました。

ウエディング撮影などでLUMIX S9を定点カメラとして使用することを想定し、高温警告が表示されるまでの時間と、実際に録画が停止するまでの時間を計測しています。

今回の検証では、冷却ファンとダミーバッテリーを組み合わせることで、ファンを使用しない場合と比べて録画時間が最大約3倍まで伸びました。

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今回使用したカメラ用冷却ファン

今回導入したのは、llanoから発売されているカメラ用の冷却ファンです。

400mAhのバッテリーを内蔵しており、最長で約5時間連続使用できます。ほかの製品と比較してバッテリー容量が大きかったことが、選んだ理由です。

重量は約48gで、見た目から想像するよりもかなり軽く感じます。風量は2段階で調整できますが、今回は冷却効果を優先し、強い方のモードで検証しました。

動画撮影ではファンノイズも気になるところですが、個人的には比較的抑えられている印象です。

取り付け方式:スプリング式の爪を左右に広げ、カメラ背面に固定するタイプです。

背面にくぼみがあるカメラであれば簡単に装着できます。ただし、LUMIX S9の背面はフラットで、爪を固定できる場所がありません。

そのため、今回は3Dプリンターを使ってストッパーを自作し、冷却ファンを取り付けています。

検証時の撮影条件

今回のテストでは、基本的に以下の撮影設定を使用しました。

解像度・フレームレート4K 30p
記録方式4:2:2 10bit、Long GOP
ファイル形式MOV
フォーカスマニュアルフォーカス
室温29〜34℃

室温はテスト日によって異なるため、完全に同一条件での比較ではありません。その点を踏まえたうえで結果をご覧ください。

ファンなしでは36分で録画停止

まずは冷却ファンを使用せず、背面モニターだけを開いた状態でテストしました。室温は29℃です。

高温警告:録画開始から25分

録画停止:録画開始から36分

録画開始から25分で高温警告が表示されました。その後も録画自体は継続できましたが、36分で温度上昇によって停止しました。

今回は、この36分を基準として、冷却方法によってどの程度録画時間が伸びるか確認します。

外付け冷却ファンで録画時間は50分に延長

続いて、LUMIX S9の背面に冷却ファンを取り付けてテストしました。室温は先ほどより1℃高い30℃です。

高温警告:録画開始から39分

録画停止:録画開始から50分

ファンなしでは25分で表示された高温警告が、冷却ファン使用時には39分まで伸びました。警告が表示されるまでの時間は14分増え、約1.5倍です。

録画停止までの時間も、ファンなしの36分から50分へ14分伸び、約1.4倍になりました。

室温が1℃高い条件でも、高温警告と録画停止の両方が明確に遅くなり、外付けファンの冷却効果を確認できました。

冷却ファンと常温の保冷剤を併用

次に、冷却方法として注目されることがある常温の保冷剤も試しました。冷却ファンに常温の保冷剤を組み合わせ、室温31℃でテストしています。

高温警告:録画開始から35分

録画停止:録画開始から44分

結果は、ファンだけを使用した場合よりも短くなりました。室温が1℃高かったことも影響していると考えられます。

また、保冷剤がカメラの熱を蓄え、かえって熱が逃げにくくなった可能性もありそうです。

途中で保冷剤を交換すれば結果が変わる可能性はあります。ただし、今回想定している撮影環境では交換するタイミングを確保しにくいため、今回の条件では保冷剤を併用せず、ファンだけを使う方が録画時間を伸ばしやすいと判断しました。

ダミーバッテリーを使用すると1時間19分まで延長

ここまでの検証では、カメラ本体のバッテリーへUSB給電しながら撮影していました。

ただし、給電しながら本体バッテリーを使用すると、バッテリー周辺の温度が上がり、カメラ内部の発熱に影響している可能性があります。

そこで、外部の大容量バッテリーからダミーバッテリーへ直接給電し、カメラ内部に通常のバッテリーを入れない状態で検証しました。

冷却ファンも取り付け、撮影設定はこれまでと同じ4K 30pです。室温は32℃でした。

高温警告:録画開始から44分

録画停止:録画開始から1時間19分

ファンのみの場合は、高温警告が39分、録画停止が50分でした。ダミーバッテリーを使用することで、警告までの時間は5分、録画停止までの時間は29分伸びています。

室温はファンのみのテストより2℃高い条件でしたが、録画停止までの時間は約1.6倍になりました。

長時間の定点撮影では、冷却ファンとダミーバッテリーの組み合わせが有効そうです。

ダミーバッテリーの端子と給電方式

最初に購入したものは、プラスとマイナスの2端子だけを備えたタイプです。その後、純正バッテリーと同じように4つの端子を備えた製品を見つけました。

4端子タイプでは、T端子が温度管理、D端子がバッテリーセルの状態をカメラ側へ伝えるための端子とされています。

販売ページには、純正バッテリーと同等の機能を備え、安全保護回路によって発熱を抑えながら連続給電できると説明されていました。

最初に使用したダミーバッテリーは、本体から直接USB-Cケーブルが出ている構造でした。一方、4端子タイプはUSB-CをDCプラグへ変換して接続します。

ケーブル途中の四角いパーツは昇圧コンバーターで、USBから出る5Vの電圧を、カメラに必要な約8〜9V前後まで高くしてからダミーバッテリーへ送るためのものです。

バッテリーや給電まわりは、カメラの安定動作に関わる部分です。使用時は製品の仕様や対応機種を確認する必要があります。

後日調べたところ、USB-Cで接続できる純正ダミーバッテリーのDMW-DCC18が販売されていることも分かりました。

バッテリーまわりは純正品の方が安心感があるため、今後購入し、サードパーティ製との違いも確認したいと考えています。

 

4端子ダミーバッテリーでは1時間48分撮影

最後に、4端子を備えたダミーバッテリーでもテストしました。室温は今回最も高い34℃です。

かなり暑い環境だったため、このテストでは扇風機を使用し、部屋の空気を循環させています。

高温警告:表示なし

録画時間:1時間48分

停止理由:128GBのメモリーカードがいっぱいになったため

結果は、高温警告が一度も表示されないまま、128GBのメモリーカードがいっぱいになるまで撮影できました。

4端子によって温度情報が正しく伝わったことが影響したのか、扇風機で部屋の空気を動かした効果が大きかったのかは断定できません。

それでも、これまでで最も室温が高い条件にもかかわらず、高温警告なしで最後まで撮影できたのは印象的な結果でした。

今後は、ファイル形式をMOVからMP4に変更し、2時間の連続撮影が可能か追加で検証する予定です。

検証結果の比較

検証条件室温高温警告録画時間
ファンなし29℃25分36分
冷却ファン30℃39分50分
冷却ファン+常温の保冷剤31℃35分44分
冷却ファン+ダミーバッテリー32℃44分1時間19分
冷却ファン+4端子ダミーバッテリー+扇風機34℃表示なし1時間48分

※テストごとに室温や空気の流れが異なるため、結果は各機器の効果を厳密に比較するものではありません。

外付け冷却ファンを使って良かった点

録画時間が明確に伸びた

ファンなしの36分に対し、冷却ファンを取り付けた場合は50分まで録画できました。

高温警告が表示されるまでの時間も伸びた

高温警告が表示されるまでの時間は、25分から39分へ伸びています。

本体への負担が少ない軽量設計

使用した冷却ファンは約48gと軽く、取り付け時の重量増加を抑えられます。

気になった点と注意点

LUMIX S9の背面はフラットなため、今回使用したスプリング式の冷却ファンをそのまま固定することはできませんでした。装着には自作ストッパーなどの工夫が必要です。

また、冷却ファンには動作音があります。今回使用した製品は個人的には比較的静かだと感じましたが、カメラ本体のマイクで音声を収録する場合は事前に確認した方がよいでしょう。

ダミーバッテリーについても、端子数や給電方式が製品によって異なります。対応機種や電圧などを確認したうえで使用する必要があります。

さらに、今回の検証はテストごとに室温や空気の流れが異なっています。特に4端子ダミーバッテリーのテストでは扇風機も使用しているため、録画時間が伸びた理由をダミーバッテリーだけの効果と断定することはできません。

まとめ

今回の検証では、LUMIX S9に外付け冷却ファンを取り付けることで、高温警告が表示されるまでの時間と、録画停止までの時間がどちらも伸びました。

ファンなしでは36分で録画が停止しましたが、冷却ファンのみでは50分、冷却ファンとダミーバッテリーの組み合わせでは1時間19分まで延長しています。

さらに、4端子ダミーバッテリーと扇風機を併用したテストでは、高温警告が表示されないまま1時間48分撮影できました。

外付けファンには一定の冷却効果があり、長時間撮影ではダミーバッテリーとの組み合わせが特に有効という結果になりました。

ただし、室温や空気の流れ、記録形式、使用するダミーバッテリーによって結果は変わる可能性があります。実際の撮影前に、本番と同じ環境で連続録画テストを行っておくと安心です。

今後は、純正ダミーバッテリーやMP4形式も試し、2時間の連続撮影が可能か検証していきます。


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